鈍刀
「大剣を持ってるのに、使い方が分からないんだね、クッラちゃんは。それとも自分の装備にさえ気がついてないような状態なのかな、今が。」
かつての人達になんとなく言われていた事。
直近の人達に改めて言われた事。
今までの物事を総括するかのように彼女は言い放つ。
「根っからのライター」と自ら言った彼女は、文鳥のように言葉を扱う二人の男の子を育てる母だ。生まれて数ヶ月の首が座った赤子を抱っこさせてもらった。初めて会ったのは、もう3年も前か。長い付き合いな人なんだろうな、と改めて思う。
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「あなたは太陽みたいだよ。ぽかぽかする。そしてスポンジなんだね〜なんでも吸収しちゃうんだ。」
かつてその人は言った。
年頃の娘さんを二人育てる母だ。震災を現地で経験した姿は、強く柔らかく気高く逞ましく。娘さんが美術系の高校に進学する時にアドバイスを求められた。「不得手な私が言うのもあれですが、どれだけ観れるかですよ、本当に。」なんて言う。
今は自分のスペースで、食べ事であり、物事を生み出す彼女は、ある種の見える人。いろんな世界と繋がってるんだろうなと思う。故にビーガンなんだろうなとも思う。
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最近いつも以上に"シュンシュン"とオノマトペが響き渡るように脳内で高速回転している。
スイッチの仕様を変えたのが良いのか、何かに一極集中せずにどれかが疎かになる現象は、少しずつ、本当に少しずつだけど改善されている。*1
動く分、立ち止まる時間は確保しないといけない。無理矢理にでも。動き続けたら見える物もある分、失う物あるのだから。ギブアンドテイクは変わらない摂理だ、きっと。
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「今の世の中は情報に溢れてるんです。探せば出てくる。だからこそ、『やる』か『やらない』かのどちらかなんです。そしてこれが僕の『やった』結果ですね。」
とあるオーナーは意気揚々と言った。そのお店の内装も外装も全て1人で手がけられている。リノベ、DIY、1人で全てするなんて、相当な気力と体力がいるだろう。彼はそれを3年かけてやったのだ。店の名前や料理より内装外装を語る口は饒舌だった。
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私の装備は、どうにも、「鈍刀」のようだ。
大きさはまだ分かっていないんだけど、鈍らなのは分かる。
元々は怠惰な人間だ。気が緩むと一気に底辺に墜ちる事ぐらい、自分が一番分かってる。
だからこそ、振り回しては見るものの、上手く扱えずだんだん鈍らになっているようだ。
うーむ。このままじゃ周りにも余波があるし、自分自身も装備を理解しないまま生きるのは良くないなぁ、と。
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「装備が分からない?じゃあ、人に聞いてみると言いよ。友達でも、会社の人でも。自分の事は他人が教えてくれるよ。自分を決めるのは自分でもあり、他人なんだから。」
私の装備は何なのかな。この「鈍刀」の正体は何かな。
理解する事から始めて、そして磨き上げたい。
何もしないままでは、いつまでも「鈍刀」なのだ。
ならば、『やる』。やって、「鈍刀」と向き合おう。正体が分かってから、より磨き上げるように道具を揃えよう。
いつだって自分との対話も脳内会議も必要だ。そして、それをしてから周りにも開くのだ。内で滞っていてはならない。相互関係、循環するからこそ、次の何かが見えてくるのだ。その方がいろいろと健全でより良い方向に進む。そういう事だ。