7月の手招き
久しぶりに夜の街を駆け抜ける。
自転車で、シュッと。
アルコールは飛んで、視界はクリア。
酔い濁った視界は好きじゃない。
視界の中に飛び込んでくるものがある。
提灯。
大通りからちょっと入った商店街。
大通りに出るまでの商店街。
アーケードの下に、でかでかとぶら下がる。
灯らずにスヤスヤと眠る提灯。
私はそれを見て、
「7月が手招きしてるみたい。」
と思った。
6月の終わりを感じるのでなく、
もうすぐ来る7月を感じた。
四季をあまり感じなくなった。
この世界は終わりに向かってると思う。
いつ来るか分からない、突然来るかもしれない。
終わり。
人は終わりに向かって進むんだけど、
365日と12ヶ月と1年を
数として捉え、感じる事は出来るのだ。
梅雨も夏も、もう分からないや。
ただ確実に、7月は手招きをしている。
それだけで十分なんだよ。