「映画ごっこ論」と「旅」
「よく、『映画ごっこ』をするんです。」
「『映画ごっこ』?」
「自分と好きな映画の主人公を重ねるんです。
あの主人公なら、夜更かしはしないだろうとか、暴飲暴食はしないだろうとか。
外に出る時も『衣装を着ている』と思っていて、だからダラシない格好は出来ないんですよね。
あと、私はよく、喫茶店でお手紙を書くんです。
家でも書けるんですけど、それはあの映画の主人公ならこうするだろうな、って。
このご時世だけど、レターセットの消費は凄いんですよ〜。」
「何それ。めちゃくちゃ素敵じゃん。」
私は大学の後輩である3つ下の友人にそう言った。彼女の考えは、とても前向きで素敵だな、と素直に思えた。
この姿勢こそ、彼女が作家活動と仕事を両立させてるベースになっているんだろうなぁ。
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そんな「映画ごっこ論」を語ってくれた彼女と私は1日、「旅」をした。
ブラタモリのようにブラリとお散歩。
京都はすぐに「旅」が出来る。
道中で知人が出展していた展示に立ち寄る。
15人それぞれの「旅」の価値観が凄く素敵で、コンセプト作りが上手い。
金岡さんとなかよしさんから作品に対するコンセプトや纏わるお話を聞いたけれど、それもまた面白い。
作家さんが何故それを作ったのかを聞くのは、作品を見ただけでは伝わらない想いが聞けて、とても良い時間だった。
来月、東京で展示されるとの事なので、お近くの方は是非。
1日の内でたくさんの「旅」をする。
どこか遠くに行くだけが「旅」ではない。
何気無い日常にも「旅」がゴロゴロ転がっているものだなぁ、なんて思う。
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「映画ごっこ論」にしろ、「旅」にしろ、そこにはそれぞれの「物語」が詰まっている。
私はいろんな「物語」を見聞きするのが好きで、そして自分の「物語」をどうしていくかが好きなんだな、と漠然と思った。
そんな私の「物語」としては、とても素敵なシャツワンピースを購入しました。
「良いシャツ、一つ持ってたら心持ち違うわよ。」
って、数年前にアドバイスされて。
「そうだな〜」と思って、ずっと実店舗に行く機会を伺っていた。
せっかくなので、そんなシャツを一着持っている年下の友人と一緒に行ってみた。
てろっとしたスーツみたいな素材で、試着した瞬間に背筋がピンとした。
「キングスマンみたいなシャツワンピースだ」と袖を通して思う。
何着か試着したけれど、やはりこの子だった。
普段使いもできるし、アウターでオールシーズンいけそう。
また、アウターを増やしてしまった。さぁ、どの子を断捨離しようか。
そんなに稼いでるわけではありません。少し背伸びして買いました。
でも、「ずっと着ていきたいな」と試着して思ったし、着れるようにいろんな物事を維持していきたい。
届くのは自分の誕生日が過ぎてからのようだ。ちゃんとした日にちは分からない。
「これからも楽しんでいこうね」っていう自分に対してのプレゼントだと思えば、尚良しでは、って言い聞かせてる。
自分が良いと思って決めたものは、誰にどれだけ言われようと後悔なんてしたくないものだ。何事も。
ワンクリックで何でも決められる世の中になったけれど、やはり自分の目で見て確かめて、これは大切なの?どうなの??必要なの???、って感覚は養っていかないといけないなと思う。
出費を抑えるために、お弁当生活を再開してるのだけれど、それはそれで、料理のレパートリーと効率化、時短、腕が上がるから良い事じゃん、と思ってる。
ご飯を作る時間を生み出す事もまた、自分にとっての大切な事のように思えた。
出来なかった事が出来るようになる。それは遅くても不器用でも大切な事かと。
また、取り留めなくなってきた。
最初からこの文章にオチなんて無いんです。
私の「物語」は、未だにオチが見えていない。
無理して、ハードルの高いオチをつくると、しんどくなるので、目の前の事の積み重ねが大事だな、と。
むしろ、それが積み重なると高いオチになるのだな、と今はそう思う。
~~~ ( 以下駄文 ) ~~~
以前の私なら、先に挙げた友人の事を「大学後輩」とだけで記していただろうけれど、彼女の事は友人と記しておく。
彼女は年下であるけれど、芯が通った、しっかりものの素敵な女友達だ。
よく人と関わるので、友人、知人とか、無意識の内にラベリングをしていたように思う。
例えば、この人は大学同期とか、勉強会で同じグループになった人とか。
でも結局そういうの意味が無くて、きっかけは些細な事でも良くて、今、目の前で向き合ってくれる人達が自分にとって大切な人なんだな、と改めて思う。
関係性は、頭ごなしに決めつけるもので無いし、言葉やラベリングするものでも無い。
関わっていく中でどう接していくのか。そういう事なんだと思う。
昔、素敵なおじさまに言われた事を思い出した。
「俺に娘はいないし、同僚でもないし、教え子でも無いし、、、なんだろうな。放っておけない年下の友人かな。まぁ、俺とクララはそういうことだなぁ。」
そう。サラリと軽やかに。
そうやって粋な言葉を放つ年上に出会ってきた。男も女も。
そういう人達にずっと憧れをいただいていた。
同じステージに登れるかどうかは分からないけれど、その憧れを、その謙虚な大人のイメージを殺してはいけない。
『本当に大切なものは増えていくのではなく減っていく』
これ、どこで聞いた言葉だっけ?って思ったら、先日見た「怒り」だった。
そういう事なのかもしれないけれど、大切なものはちゃんと残していきたいものだ。考えなり、思いなり、生み出すものなり。