雨
雨の始まりは、いつも綺麗な音がする。
私の生まれ育った鳥取という場所は、「砂丘があるから常に晴れてるんでしょ?」と思われるかもしれない。
しかし実際は、晴れの国、岡山の雨雲を中国山地で回収して鳥取や島根で雨を降らす、といった土地柄的にしょうがないループが発生していて、一年の半分は曇り、雨、雪という不安定な天気が続くのだ。
晴れたら、「お〜珍しいね〜!」って思ってしまうほどの。
雨で運動会や遠足が流れるのはよくある事で、雪が降って1時間に1本しかない電車が止まる前に休校というのは普通の事だ。
そんな感じで?、雨に楽しみを見いだしていかないとやっていられない。
雨音がさまざまで、音を奏でて綺麗だとか。
ビンやペットボトルに水を溜めると良い音がするだとか。
雨がポツポツと水面を跳ねて、その波紋が綺麗だとか。
蛙の合唱が五月蝿くなってきただとか。
今度はカワイイ傘をさそう、レインコートを着よう、だとか。
高校時代から雨量が多くなると頭痛が酷くなって、雨をあまり楽しめてなくなってしまった。
頭の痛さの方が増して、感情が無くなっていくように感じる。
でも今朝方、ふと目が覚めて、窓を開けてみる。
雨の始まりの音が聞こえた。
地面にポツっと、雨が響く音。
そんな始まりの音は、いつだって綺麗だという事を思い出した。