kuraruk.blog

見聞きして考えた事を綴ってます。趣味です。

「ファッションは最速の言語だ」

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彼は私達にそういった。

彼は私達に問いかけるように、私達とコミュニケーションをするように話している。

だけど、私達は彼の連想ゲームを目の当たりにしているだけ。

私は、面白過ぎて手記が止まらなかった。この時間のメモを、PCを開いてタイピングでとるのは、逆に失礼に値する。というか、最早手記ではなく、彼の話にしっかりと耳を傾けた方が良いんだ。と気づくと、自然に手が動く。iPhoneのボイスメモを立ち上げる。

声を残す、という安心感が生まれた事で、目の前の情報にようやくついていく覚悟が出来た。

彼は、本当の芸術家だ。

私の経験と知識がまた上書きされた。

 

 

*****

 

 

忙殺されて、あの日々の感動が徐々に劣化しているように思う。

一通りコミュニケーションをとりたい方々にはお礼が言えたけれど、ちゃんと自分の中でまとめきれていない。

記憶が劣化しないように、脳内と心の引き出しに、壊れないように閉まっておく。それが今取れる良策である。

「終わった、終わった。」と達成感で満たされるだけじゃなくて、「じゃあ次をどうする?」は見ておかないと。それをしておかないと消費するだけの人間だ。それは嫌なのだ。

 

物事をブラックボックスに入れてばかりではいけないんだろう。誰しも、ドラえもんの4次元ポケットみたいな自分だけの秘密のポケットはあるものだ。でもそんなポケットだって、映画や大事な場面では、肝心な道具はいつも出てこない。ドラミちゃんは、的確に出してくれる。

散らかった状態は"悪"ではないと思う。その方がパフォーマンスの良い人間はいくらでもいる。身近にもいるし、私もその類の人間だ。

とは言えど、やはり人に説明出来ないと意味ない事もある。

自己中心の素質があるならば、自分だけを守る自己中心になってはいけない。何かに還元する、何かを守れる自己中心でいなければ、本当の自己中心になってしまうだろう。

 

 

*****

 

 

数年前までオレンジキャラだった。

衣服の一部にオレンジ色の何かを身につけ、人に印象を与える。アウターやパンツ、スカート、マフラー、リュック。。。全身オレンジ装備が出来るぐらい何かしらアイテムがある。当時はアウターやリュックで印象付けていて、「オレンジさん」「オレンジの子」で覚えられていた。

最近は、この7,8年ほど愛用しているnoonのオレンジの腕時計や靴下や靴など、ワンポイントで収まっている。とか、抑えている。その方が好きな服を着れる。

オレンジに助けられた事も多い。だからこそ、今は着たい服が着れる。

「ファッションとは、言葉を発さなくても、見ただけで分かる最速の言語だ。」

着飾らなくて良い。自分が長く付き合える、着たい服を着よう。その方が余程、自分らしい。

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セイカハッカソンで1日メンターをした話

企画者の皆さまにお声がけいただき*1、セイカハッカソンで1日メンターをさせていただきました。2日目は以前から先約があったので、今回は1日目のみの参加だったのですが、せっかくなのでまとめておこうと思います。

 

 

セイカハッカソンとは

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京都精華大学で開催されている学生向けのハッカソンです。

芸術、デザイン、マンガ、ポピュラーカルチャー、人文という5学部をもつ同大学は、学生を始め、先生、職員、取り巻く人々もあくが強く(褒めてます)個性豊か。多様な表現分野がありますが、各学部、コースでコラボレーションする機会は滅多になく*2、学生の中には「他のコースの人と絡まないまま終わった」なんて事もあります。*3

このハッカソンでは、気軽に他学部、他コースの方と交流出来て一緒に制作出来る機会なので、良い取り組みだな〜と思っています。詳しくは、上記のサイトにアクセスしてみてください。👆

 

メンターで何をしたの?

先輩風を吹かせてきました(# `)3')▃▃▃▅▆▇▉ブォォォォ ///

もちろんです。これはさせていただきました。卒業生なので。
...というのは、一旦置いておいて。

私自身は、ハッカソンの経験はほぼ無くて。アイデアソンの参加やスタートアップウィークエンドのオーガナイザーの経験が手で数える程度であるほどです。
普段の仕事は、マークアップ言語を書く事が多く、企画・ディレクション周りは年数回行うぐらい。今回のテック部分の鍵となる、Processing,Maxについては、数年前に齧った程度なので、学生に教えるわけにはいきません。

そんな私ですが、「メンターを引き受けたからには、何か軸が欲しいし、実験してみたいな〜」なんて、ちょっとした野望を企てて参加してみました。

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軸:卒業生(参加者の先輩)、調整役、チームビルディング、アイデアの誘導
実験:個々の特性を活かしたアイデア出しの実現
~~~

実はこんな野望を企てていたんです。本当に。ちょっとしたファシリテーションではないけど、そんな事が出来たら良いなと思って。

これは後ほど項目を立ててまとめようと思います。

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会場入りした早々、司会横に座る事になるなんて、ただのイジられポジション...

 

アイスブレイク:「好き」を書き出す

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今回のハッカソンでは成果物を見たわけではないので、印象的だったワークを。

アイスブレイクの内容は、「好き」を書き出すというものでした。
1つの質問に対して、3分間で答えを出します。質問毎にA3用紙の真ん中にキーワードを書き、ポストイットに自分の答えを埋め尽くしていくワークです。

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何故、「好き」を書き出すのか。
このハッカソンの企画者でもある森原さんは、このようにおっしゃられていました。

物事の原点は「好き」です。
何か創作物が生まれるのも「好き」があるからだと思っています。
じゃあ「好き」ってなんだろう。
自分の中の「好き」ってちゃんと分かってる?
書き出してみる事で自分を客観視する事が出来ます。
「好き」なんだけど、書けない事は『深い』ものかもしれないし、書ける物は『広い』ものかもしれない。
「好き」の掛け合わせで創作に繋がります。
せっかくの機会なので、自分の「好き」を考えてみましょう。

このワークは、AO入試などで合格をした高校生へのスクーリング授業でもするそうです。

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質問内容は8つ。

  • 食べ物
  • 音、音楽(フレーズ、オノマトペでも可)
  • マンガ・アニメ
  • 動き
  • 好き、と言われて思い浮かぶもの

私からは、「マンガ・アニメ」をお題に選んで質問させていただきました。学生時代も社会人となった今でも、この「好き」から始まるトークは楽しいです。「高校生へのスクーリング授業でこの質問を出したらね、それがきっかけで自然と仲良くなるんだよ〜」なんて森原さんが言います。 

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ワークの中で面白いと思ったのは、ポストイットの貼り方1つで、各々の性格が出るな〜といいうところ。上の写真の手前の二人なんかは、真反対。笑
質問によって、ボリュームに個人差があったりして、見ていて飽きませんでした。

私も頭の中でそれとなくやっていたのですが、今の自分に足りないのは『「好き」を客観視する事』なんじゃないかなと感じました。
誰しも生きていく中でたくさんの「好き」があって、その積み重ねで生きている。例え消したとしても自分の血肉になっている。物事の原点が「好き」ならば、それは立ち戻れる場所で自分の中の根っこなんだな〜、と。
日々を生き抜く中で「好き」が埋もれていては勿体無い。改めて機会を設けて「好き」を書き出してみようと思います。そこから膨らむ話もありそうで、楽しそうです。

 

個人的な実験:即席チームへのアイデア出しアドバイス

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先に述べたちょっとしたファシリテーションをこのチームで試してみました。
チーム名は"コロコミ"としておきましょう。何故このチームにしたのかというと、ポーズをとってる男と女に眼鏡っ娘2人が押しつぶされるのでは...と思ったからです。相変わらず、デジクリのキャラの濃度は濃い...。

 

"コロコミ"チームでは、「バット」で楽器を作る事に決めて、アイデア出しを始めました。ゆっくり時間を取りたいところですが、ハッカソンなので、作らねばいけません。とはいえ、1人のアイデアにすがると、個人制作をチームで手伝う事になる。「せっかく個性豊かそうな4人が揃ったんだから、4人が納得したアイデアで進めてほしいなぁ。」と思って、いくつか助言をしてみました。

  • イデアを出し合う時に否定しない。不可能なものだとしても。
  • 一つのアイデアを面白がろう。派生するアイデアが浮かんだら、どんどん付け足してみよう。
  • 「バット」の見方を変えてみよう。スポーツ以外の「バット」の使い方で、「バット」らしい使い方ってなんだろう。自分たちも周りも楽しめる使い方ってなんだろう。
  • 「バット」から連想出来るものってなんだろう。アイスブレイクでやってみた客観視を「バット」でやってみよう。「動作」、「音」、、、「バット」をもう一度見つめなおそう。

 

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そんなアドバイスをして、先ほどの「好き」を書き出すのと同様に、A3の紙を「バット」というキーワードから連想出来るアイデアポストイットで埋め尽くしてもらいました。

このワークにも、実は一工夫を。3段階に分けてみたのです。

 

  1. 4人で話し合いながらブレストする。
  2. 1で話し合われた内容を受けて、5分間個人ブレストをする。
  3. 個人ブレストした内容を1人ずつ発表しながら、再度チームでブレストをする。

この3つ。成果は上の写真の通りです。A3用紙をはみ出すほどにアイデアで埋め尽くされました。皆、やりおる。

 

3段階に分けた1番の理由としては、4人それぞれが自分のアイデアをちゃんと発表して欲しかったからです。
言いたい事も言えないブレストでは、チームでブレストをする意味がありません。「最初はこう思っていたけれど、人の意見を聞いていたら、新しい見方が生まれた」なんてこともあります。人によって着眼点は違うからです。また、喋りが得意な子、絵に起こす事が得意な子、黙っていると思ったら突然鋭い事を言い出す子、アイデアマンみたいな子、様々なタイプの子がいるわけです。そんな多様なタイプに、アイデアを出してもらうためには、話し合いだけで物事を進めるのは、時間を無駄に消費しているのと同じです。

 

  1. 話し合いをして、各々の脳内をもみほぐす。
  2. 脳内をもみほぐした状態で、時間制限の中で各々のアイデアを振り絞る。
  3. 1人ずつ自由にアイデアを述べれる場を設け、各々のアイデアをどのように足し算をするのか、どのように引き算をするのかを話し合う。

3段階に分ける事で、限られた時間の中で効率化を図り、良いアイデアが出るように、また全員が自分の意見を述べられるように誘導したのが、今回の実験です。

私は、この3段階手法ともう一つ、大学時代に先生方の勧めで読んだこの本の言葉をアドバイスしています。

アイデアのつくり方

アイデアのつくり方

 

イデアは”既存の要素の新しい組み合わせ

この言葉を投げかけて、「面白い組み合わせを見つけてみたら、"コロコミ”チームっぽさが出るんじゃないかな」と4人に伝えました。その後は、他のチームのメンタリングにまわる事にしました。

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少し時間をおいて"コロコミ"チームの様子を見てみると、何やら大掛かりな事が...
「いったいどんなアイデアが生まれたんだろう?」と気になって、内容を教えてもらう事にしました。

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それが上記の写真です。
ツイスターゲーム」はちょっと違うので、それは置いておいてください。

「バット」から「ぐるぐるバット*4」と「運だめし*5」を組み合わせて、「ぐるぐると音が鳴るバットを回して目が回ったら、マットに倒れこんで音が鳴る。」というアイデアです。

私は、『「バット」からここまで飛躍するの!笑 面白いじゃん!!』と純粋に面白がってしまいました。
スポーツとしての「バット」の使い方ではなく、遊びとしての「バット」の使い方に着眼してる事が良いなと思った事と4人の意見が上手く合わさってこのアイデアが生まれたんだな、という事がA3のアイデアシートを見て良く分かったからです。
個人的には、結果より過程が好きな人間なので、アイデアシートから4人のプロセスが見えた事がとても好印象でした。

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分担としては、女子3人で色分けマットを作り、エンジニアの男の子がバットを音がなるように改造するとのこと。4人の良いところと出来るところが上手く合わさったようなアイデアと制作の進め方で 、アドバイスをした私としても思わずニヤッとしてしまいました。

というわけで、個人的な実験は、成功という事で◎

 

1日目講評:「楽器だから練習しないといけないよね」

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1日目は進捗報告会でしたが、メンターとなる先生それぞれから講評をいただきました。講評の中で印象的だった言葉が「楽器だから練習しないといけないよね」というものでした。

どのチームもアイデアは面白いけれど、発表方法はパフォーマンス形式。作って終わりでなく、周りを楽しませるため、音を奏でるために練習しないと意味が無いよね、と。
課題曲は何長調なのか分析してみる、コード進行に合わせて楽器を演奏するのか、例えばドラムの音に合わせやすい楽器を作るか、などなど。

この意見は、映像専攻の平野さんと音楽コースの安田さんから出たものだったのですが、私はそこまで頭が回っていなかったので、目から鱗状態でした…着眼点が専門的。やっぱり楽器なんだから奏でられないと意味が無いんですよね。両先生方のアドバイスは学生にとっても、納得のいくようなものだったと思います。

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ちなみに安田さんは、1日目の深夜に課題曲を解析して、Facebook のグループページに情報を上げてくれるという神対応…!

そんな1日目があったから、2日目の発表は上手くいったんじゃないでしょうか!
後日アップされる予定のアーカイブが楽しみです。

 

当日の満足感だけで終わらないために

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参加してみて「学生時代にあったら、参加していただろうな。いや、企画側にまわっていただろうな。」と思いましたし、純粋に「楽しい時間」だなと感じました。2日間でアイデアを完成させるのではなく、物を作り、パフォーマンスをする機会はなかなかありません。これはハッカソンならではでしょう。

私は当日twitterで「#seikahack」をつけてガンガンつぶやいていたのですが、これも当日の「楽しかった」という満足感だけで終わってしまいます。
満足感は大切です。「楽しい」という事は素敵な事です。
でも、それで終わりだと勿体無い。せっかく創作出来る環境、学び舎にいるのであれば、次により良い物を作るために、振り返りも必要だと。

...と個人的には思ったので、今回こうして、振り返りも兼ねて、ブログにまとめてみました。まとめてみて、よりスッキリしてます。

 

学生の皆さんへ

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まずは参加した学生の皆さん、おつかれさまでした。
最終日の発表を見れなかったのが本当に残念ですが、皆さんだったら素敵なパフォーマンスをしてくれた事でしょう。アイデアがとても面白かった事ですし。同じチームになったメンバーとは、これで終わりでなく、何かあれば相談したり、また一緒に制作出来たら素敵な事だと思います。
今回に懲りる事なく、また参加してもらえたら、新しい何かを生み出せるんじゃないでしょうか。

そして、この記事を読んで参加してみたくなった学生の皆さん。
学生スタッフやメンターの先生方は、皆さん個性豊かで面白い方々ばかりです。久々に大学に行った私も楽しむ事が出来ました。1日だけでしたが、スゴく楽しい時間でした。
そんな時間や体験を味わう事が出来ます。これは自分の中にギュッといろんな価値観を取り入れるチャンスで、終わったら自分の肥やしに、確実になります。時間も無いし、多くの物事が蠢いて情報量が多い空間です。自分の中で咀嚼するのに時間がかかるかもしれません。それでもあなたにしか出来ない何かがあって、それをチームに反映する事で素敵なコラボレーションが生まれるかもしれません。
機会があれば、是非参加してみてください。

 

おわりに

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長々とお付き合いいただきありがとうございました。

これを読んで、少しでもセイカハッカソンに興味を持った方は、企画元の京都精華大学デザイン学部へお問い合わせください。→support@seika-hackathon.com
そういった行動が重なって、もっと多様な人が集まる面白いイベントになるのではないかな、と個人的に感じました。

今回、急なお声がけだったので、1日だけのメンターでしたが、次回は両日参加出来るように出来たらなぁ〜と思いますし、私ももう少し軸を持って関われたらな、と思います。

以上です。おわり:)

*1:母校、母コースなので、余程の理由がない限り、ボスからのお誘いは断れない...甦る卒業制作委員の記憶...( ˘ω˘)

*2:あったとしても各コースの優秀な学生に限られる(ように思う)

*3:私自身はそんなことはない(卒業後に同級生・卒業生に会う機会もある)のですが、同コースの同期にはそんな子もいます。

*4:バットを軸にぐるぐる回る遊び

*5:バットを棒に見立てて運を試す

片方のそれ

「あれ。無い。落としちゃった。」

私がそれに気付いたのは、大学同期の新年会の会場へ向かう道中の事だった。
つい先ほどまで、左耳に付いていたそれは、もうそこに無い。
その日の京都は珍しく雪が積もっていた。バスを使うより、徒歩の方が早く移動が出来る。学生時代の思い出や近況を話しながら、大学同期と移動している最中に気付いた。さっきまでそこにあったはずの物はいつの間にか無くなっている。髪をかき上げようとしたら、大きな輪はそこに無かった。

「戻って探す?それともフードの中とかに無い?」

彼女が言う。
フェイクファーの付いた大きめのフードには、少しだけ雪が積もっているだけ。それの面影は全く無い。改めてポケットにも手を突っ込んでみるのだけれど、やはり入っていないようだ。

「うーーーん。この雪だしね。まぁ、しょうがないか...」

一本道だったら戻っていたのかもしれない。けれど我々の径路は、彼女が久しぶりに京都に来た事もあり、かなり蛇行していたのだ。探してみようにも少し難がある。何より次の開始時刻が迫っている。

「いや〜よく無くしちゃうんだよね。いつの間にか片方だけになっちゃう。」

それを皮切りに、それを買った時の思い出を話し始めた。
旅先の北欧雑貨店で買った物だという事。木を使った一点ものであるという事。けれどもそれほど高価では無い事。友人の結婚パーティーでもつけていた事。3ヶ月ほどしか経っていない事。気に入っていてここ最近はずっと付けていた事。

本当だったら、耳に穴を開けて、付けていれば良かったかもしれない。けれども、耳に穴を開ける勇気が無い事や丈夫な身体を持っておらず、皮膚に影響が出るのだ。今後開ける事はない。その気も特に無い。

少しうだうだと、未練がましく話していると、彼女は言う。

「だったら、ネックレスにしてみたら。チェーンを通せばすぐに出来るよ。そういう巡り合わせもあるやん。また次に良い物に出会えるって。」

見方を変えて、別の物にする事は私の中で思いつかなかった。あぁ、こいつはしばらく眠りについて、もしかしたらもう身に付ける事になるんだろう、なんて思っていた。
学生時代からアクセサリーを作っている彼女ならではの発想かもしれないし、また楽天的な彼女だからこそかもしれない。

「相変わらず良い事言うじゃない。ありがとう、xxxxx。」

ショックな気持ちは少し残っていたけれど、彼女に素直にお礼を言う。彼女の言葉は気持ちを少し軽くしてくれた。

無くしてしまった片方にはもう会えないけれど、今手元にある片方は生まれ変わって、また私のお気に入りのそれとして生きる。またどこかで、似たようなものに出会うのかもしれないけれど、きっと私のお気に入りのそれとはどこか違うのだ。
そういう巡り合わせかもしれない。そういうことかもしれない。

だからこそ、片方のそれを大切にして、また新しい何かに出会う。それの繰り返し。次に出会う物はどんな形なんだろう。ワクワクするけど、またどこかに行くかも。でもそれでも、過ごす時間は楽しくありたいものだ。そう思う。

 

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